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アイ・アム・レジェンド
さてさて、劇場で観てきました『アイ・アム・レジェンド』。午前中一番早い回を選んで行ったので、ゆったり観ることができました。観てから数日の間は、目をつぶるとシーンが浮かんできました。それほどまでに、この作品を気に入ったのですが、世界を救った男だとかレジェンドになったとか、そういう大きなテーマよりも、細かなシーンたちがいちいちに心に残っています。そのシーンには必ずウィル・スミス演じるロバート・ネビルがいます。彼自身がこの作品の要(かなめ)であり、彼なくしてこの映画は前に進みません。最近ウィル・スミスがかなりお気に入りです。いつも「うまいな」と思います。

この作品に関してはかなり賛否両論あるようですね。あるサイトでは、ほとんどの人がボロカスに言っているんですが、私はすっかりこの作品が気に入っていたので、少々面食らってしまいました。「恐怖映画の好きな人なら気に入る映画」「内容がない」「つっこみどころが満載」などなど。

内容に多少散漫な部分はあるにせよ、「悲劇を止められなかった」主人公の苦悩や、世界にたった一人となってしまった孤独感、それでも希望を捨てずに研究を続ける優秀な科学者であること、などを思うと、やっぱり感動してしまうのです。

この映画がお好みでない方には笑われるかもしれませんが、私はラストシーンで泣きました。劇場でなかったら、間違いなく号泣です(笑)。死んでしまった幼い娘のちょうちょの手遊びと生き残りの女性の首にある蝶のタトゥー。彼自身が死を覚悟したその瞬間をエンディングで思い出すと泣けました。同時に荒廃した世界でたった一人の家族だった愛犬サムを失ったときの悲しみを思うと泣けました。

つっこみどころ、ってわけではないですが、「へぇ〜」とか「こういうことなんだ」って思った部分をかいつまんでみます。

●冒頭のTVに移るニュース映像。悪いウィルスをいいウィルスに変化させることによって、ガン患者たちのガンをほとんどすべて完治させることができた、と語るのは、エマ・トンプソン。医者か研究者の役でテレビに映っています。実は彼女が出てくるのは、このシーンだけ。アカデミー賞女優である彼女がこんな使われ方?なんて思いましたが、この物語の元凶を引き起こした人物として、かなり重要であることは間違いないので、そう考えると妥当なキャスティングかな?と思います。

●「3年後」・・・荒廃しきったニューヨーク、マンハッタン。かつて自動車が絶えず往来していたはずの道路など、コンクリートの割れ目から草が生えています。この風景はとにかく惹きつけられずにいられません。実際のニューヨークの街を使って、早朝など人の少ない時間を狙い、何ヶ月にも渡って細かくシーンを撮っていったそうです。全てCGだと思っていたので、驚きました。で、そこを愛犬とともに車を飛ばすロバート・ネビル。鹿の群れを追いかけているシーン。ライオンに獲物を獲られる・・・。鹿肉を食べるために追いかけていたのかどうかわからないんです。鹿を追いかけるシーンは2度ありますが、どちらも逃げられてしまったので。

●荒廃したニューヨークのビルには、廃れてしまった映画の看板が掲げられています。タイトルは「スーパーマンVSバットマン」。ちょっと得した気分。

●自宅に帰り、夕日の差し込むお風呂場で愛犬サムをシャンプーするシーン。いかにこの二人(?)が愛情で結ばれているのかわかります。

●自宅にいるときは、録画してあった平和だったころのテレビ番組をビデオで流しています。そこだけ見ていると、世の中に彼しか生き残っていないとはとても思えません。そこがまた悲しい。

●腕時計のアラームが鳴ると、全ての窓をカンヌキ付きの扉でふさぎます。その後外でこだまする奇妙な声、音。恐怖です。

●ロバート・ネビルが思い出す家族との最後。ヘリコプターで去る娘と妻を見送るシーン。まだ子犬だった愛犬サムを娘から託されます。娘が手遊びで見せる「ちょうちょ」。これがラストシーンで彼を目覚めさせるのです。なにげなく観ていただけに、娘のこのしぐさが意味を持っていたことを知り、ほぉ〜。

●愛犬サムが、鹿を追って真っ暗なビルに入っていきます。ロバートは必死で叫びますが、サムはそのまま走りこんでしまいます。ロバートは仕方なくサムを探しにビルへ足を踏み入れますが、その時の彼の様子で、中に何か恐ろしいものがいると感じさせます。このシーンではドキドキが止まりませんでした。どんなものが潜むか分からない恐怖、襲われるかもしれないという恐怖。一瞬人間の形をした者たちが暗がりで立ったまま眠っているように集まっているのがフラッシュライトに照らされます。『サイレントヒル』を思い出しました。ロバートの恐怖が伝わってきて、心臓がバクバクしました。

●ガンを殺す「善のウィルス」は、多くのガン患者を完治させましたが、どうやらそのウィルスは人間に深刻な副作用を及ぼしたようです。悪のウィルスとなり、感染したもの数十億人は死に、死ななかった者も狂犬病のような症状に見舞われ、人間を襲うようになります。これが「ダークシーカー」で、ビルに潜んでいたものたちです。紫外線に弱く、暗闇でしか生きられない。とても凶暴で、さらに超人的な身体能力を持ちます。めちゃめちゃコワイです。

●ダークシーカーには、動物のように、群れを率いるリーダーが存在します。そもそもダークシーカーには人間としての理性は残っていないようなのですが、ワル知恵は働くようです。ロバートがダークシーカーを1人ワナにはめて捕まえましたが、その方法を、このリーダーがまねて、ロバートをワナにはめるのです。このときは恐ろしくて身ぶるいしました。この失敗で、愛犬サムを犠牲にしてしまうのですが、このシーンは思い出すとせつなくなります。

●ロバートが自らの血液を、生き残りの女性に託したシーン。実はちょっと期待を裏切られました。てっきり免疫のある自らの体をダークシーカーたちに捕食させて、彼らを治癒させる作戦なんだと思ったからです。ところが、生き残り女性と男の子を避難させたあと、彼は手榴弾で爆死。あとは、彼の血液を治療薬に使ってくれってことだったんですね。まあ、自らの体を捕食させるだけでは、世界に大多数存在するダークシーカーたちを治すことはできないわけですから、とりあえずここにいる言うことをきかない怪物たちはやっつけて、彼女たちを逃がす作戦。なるほど、だけどなんとなく納得いかない部分でした。

●自らを犠牲にして世界を救った彼を「レジェンド」と呼んだ、とラストシーンで語られますが、そういう技術のある人たちが生き残っていていなければ、救うことはできなかったわけで、技術力のある人がいたようだからよかったね、と妙なところで感心してしまいました。


あれこれ書きましたが、これだけ書いても私はこの作品を気に入っています。荒廃し、静まり返ったニューヨークの描き方で、40点まで上がっちゃいます。そしてウィル・スミスのいい演技に40点、その他20点。あれ、満点ですね。DVDも買っちゃうかも(笑)。

マメ知識:ウィル・スミス演じるロバート・ネビルの娘マーリー役のウィロウ・スミスは、ウィル・スミスの実の娘です(お母さんはもちろんジェイダ・ピンケット・スミスです)。
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